2005.01.1発行WIND FROM FUTURE Vol.08
2005.01.01発行
目次
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■ホームセキュリティシステムの必要性がますます高まっています。
■特定商取引法改正に伴う弊社の取り組みについて
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第8回「悲喜こもごも」
大石が課長職になった昭和四七年の九月、「日本列島改造論」を掲げた田中内閣が成立した。各地で開発ブームが起き、世の中は活況を帯びた。
高度成長期の到来である。
大石のモーター事業部では、需要が月ごとに倍、倍と伸び、やがて福岡本社工場の月産能力を上回るようになり、本社だけでの対応はお手上げとなった。沖縄を除き、九州松下が工場や関連会社を唯一もっていなかった長崎県の諫早市長野町に、月産二〇万台の生産能力を持つ新工場の建設が決まった。
大石に、声がかかった。
「長崎工場の製造責任者として、助けてくれ」
大石は、自ら育てた精鋭から、班長と組長の三人の責任者を選び、新規採用組に技術を叩きこんだ。
昭和四八年八月、大石は、八〇人の人員と共に、諫早に入った。一ヶ月で準備作業を終え、予定通り翌九月から操業を開始した。
「定時は午前零時と思ってくれ」
大石は無理を承知で残業を強いた。ひと月でも早く、月産二〇万台の軌道にのせようと、必死だった。
「定時」を過ぎ、残業が午前二時、三時に及ぶことも多かった。結果、年内に目標の二〇万台を達成した。
それは、奇跡に近かった。
明けて昭和四九年。本社で生産していた洗濯機モーターの製造を引き受けるなど、大石たちの工場は順風満帆だった。「優良工場」の指定を受け、本社から役員や幹部社員が見学にきた。工場の士気は上がった。しかし、その頂点に達したとき、仕事がパタリと止まった。
「石油危機」後の不況が訪れた。
まさに「油断大敵」だった。猛スピードで成長を続けてきた日本経済に急ブレーキをかけたオイルショックは、インフレ、買い占め、便乗値上げなどを引き起こし、日本列島をパニックにした。パニックはやがて深刻な状況となり、物価の上昇が消費の停滞を生み、企業の生産活動を麻痺させていった。
会社というものは、冷酷である。月産五万台の洗濯機モーターラインは閉鎖され、五〇人が解雇された。大石にとっても初めての、厳しく、逃れようのない経験だった。
大石は、本社に戻れるかどうか、専務に伺いをたてた。
「君は長崎の事情に詳しいから、もう少し残ってくれんか」
「こちらに仕事はないんですよ」
「仕事はある。君には営業に回ってもらう。籍は、事業部長付営業課長で、どうや」
入社十八年。四〇歳を前にしての課長職。だが、その仕事が、考えてもみなかった営業職とは・・・。
大石は、まさに悲喜こもごもの心境であった。
SEASONS COLUM -風と住まい-
『屋根裏での強制換気の効果』
子供の頃、屋根裏に上がり大事な物をかくしたり、かくれんぼして遊んだものですが、屋根裏が暑いと言う記憶がないように思いいます。日本の屋根は良く出来ていて、屋根は杉の皮を敷き、粘土をのせ、粘土瓦をかぶせています。
私が弟子のころ、三角形の木の箱を背中に背負い、粘土を入れ、ハシゴを登り、屋根の上まで運びましたね。土をのせた屋根は吹き込んだ雨水を吸って、雨漏れを防ぐようになっています。日光がさすと熱を防ぎ、家の中が暑くならないように工夫されています。すきま風は入りますけどね…
最近、多くのハウスメーカーが販売している一戸建住宅の屋根裏換気の現状は、必要最小限のものであり、日本のような変化の激しい気候条件のもとで、年間を通じて、すべての住宅で換気が十分機能しているとは言えません。
例えば、真夏の屋根裏の温度上昇は予想以上のもので、その結果室内の温度が上がり、冷房効果を著しく低下させている事は多くの人が体験されている通りです。同時に天井裏に使われている建材からのホルムアルデヒドなどの有害物質の発散が活発になり室内への流入も考えられます。
また、冬場においては軽量鉄骨構造住宅の場合、屋根裏の鉄骨表面に結露が発生しやすくなり、天井のシミやカビを発生させる原因ともなります。
以上の様な住宅の屋根裏で発生する問題を解決する一つの方法として、最近注目しているのが換気扇による強制換気です。効果も確認されており、今後、積極的に活用をしていきたいと考えています。
積水ハウス株式会社 福岡カスタマーズセンター カスタマーズ課 主任 井上 義博 氏