2006.07.1発行WIND FROM FUTURE Vol.14
2006.07.01発行
目次
■ホームセキュリティシステム「ライフディフェンス2」発売開始
■ライフディフェンス2のいろいろな活用法
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第14回「下請会社設立へ」
パートを使って社内でするから、
労使間の約束にしばられるのだった。社外に出せば問題なくなる。どうしてこんな単純なことに、今まで気づかなかったのだろう。
専務に相談した。
「パートを全員雇って別会社を作ります。そうすれば問題は解決です」「なるほど、そやなあ。それじゃ、その話を進めてくれ」
ゴーサインは出た。
まず、用地のめどをつけなければならなかった。諫早市の商工課長が、私を訪ねて来た。えらく早いなと感心していたら、長崎の工場長が「こんど強力な協力会社ができる」と、言ってまわっていたのだった。
「用地を探しておられるとか。良い土地があります。私がご案内します」
彼が連れて行ったところは、諫早市の工業団地だった。きれいに造成し、整然と区画を画していた。諫早市の相場から坪7万円は下らないと見た。
「いや、こんな立派な土地を探しとるわけじゃないのです。こちらは廃校になった学校の跡地でもなかろうかと考えていたくらいですから」
課長の顔が変わった。
「廃校のような所でやる仕事なんですか。九州松下の仕事と聞いとりましたけど、そんな会社ですか」
私もムカっときて言い返した。
「この話はこちらから頼んだわけじゃないんだよ。そっちから、見てくれというからここに来たんじゃないですか。間違いがないように言っときますが、建てるのは九州松下の工場じゃないんだよ。下請会社なんだから外見なんかより、儲かることが先だ」
諫早市は、「おちょくられた」と怒った。私も「絶対諫早市に建てるもんか」と、意地になった。周辺の市町村を探した。
諫早市から10キロほど佐賀側に寄った、長崎県北高来郡高来町大字湯江に、600坪(約1980平方メートル)の土地が見つかった。標高983メートルの多良岳を背負い、有明海に臨む。海に面した斜面に、ミカン畑や野菜栽培のビニールハウスがならぶのどかなところだった。そこは国道207号、長崎本線湯江駅からも便利な土地だった。
高来町によると、ある会社が飼料工場を建てようとして、地主と仮契約を交わした。そこまでは順調だった。が、住民の知るところとなり、「臭気がする」と反対運動が起こった。地主は会社からもらった手付金を遣っていた。会社側は出
るにも出れず、引くにもひけなくなった。
「会社に手付金をもどせば、契約は白紙になるんですな。よっしゃ、私がなんとかします。町も協力してくれますか」
「念のために聞くとですが、お宅は公害は出んでしょう。そんなら、誘致企業ということで、便宜を図らせてもらいます」トントン拍子にまとまった。
次は、経営者だ私は「この人」と思っているある会社の社長に電話した。
「松下から、私が仕事を流すからには、間違いありません。社長に損させるようなことしませんよ」
「じゃあ、お引き受けましょう」
「ありがとうございます」
こういって電話を切った。
どうやらパートに対しての責任をはたせそうになってきた。
SEASONS COLUM -風と住まい-
『潜在ニーズを標準というカタチに』
もともと大手ハウスメーカーに勤務していましたが、そのころから施主の本来求める内容との埋まらぬ溝を感じていました。
それを埋めたいとの思いから1999年から建築家とユーザーの掛け橋としてのプロデュース会社を設立し施主の細やかなニーズに対応する仕組みを構築しています。
その中でも潜在的なニーズとして住宅の保全というものは重要です。
とくにローカルな地域では湿気によるクレームが発生しやすいので予め有効な換気対策を施しておかないと後々大きなクレームにもつながりかねません。
とはいうものの建築家自体まだまだ認識が深くなかったため、西邦電機さんのシミュレーション施設を見学したりと有効性を検証した上で、2005年よりプロデュース物件への床下換気標準装備化を開始しました。
こちらの想像以上にお客様にも好評で喜ばれています。
目に見える空間についてはもちろんですが、見えない場所にも最善の提案をすることで本当の意味での顧客満足につなげたいと考えています。
FORZA代表取締役 青木 徹也 氏
ハウスメーカーを経て99年、家づくりのサポート機関 フォルツァ(株)設立