2010.05.20発行WIND FROM FUTURE Vol.29
2010.05.20発行
目次
■基礎断熱工法の床下部湿気もブロワー換気で解消されます
■新型モータ(省エネ仕様)完成、消費電力20%削減
■ご要望により継続中の各種キャンペーンをご活用ください
■竹炭と木炭の調湿効果比較
■電気工事士資格について
■リフォームに新保険制度
HISTORY OF S ~SEIHO小史~
第29回「モノマネ換気扇の登場」
昭和六十一年になって、「プッシュ・ファン」の類似商品が、あちこちから出てきた。調査してみてわかったが、いずれも私とかかわりをもった人たちが、こちらのマネをして売り出したのだった。
この年は、住宅の質の向上を目指した建設省の第五期住宅建設五カ年企画がスタートした年で、向こう五年間で二二五万戸の住宅の建設が打ち出された。住宅金融公庫の金利が下がりつづけ、四・二%の「史上最低ライン」にまで下がり、住宅建設ブームの口火をきる。裾野が広い住宅産業が牽引役となって、景気を押し上げ、土地が高騰し、いわゆるバブル時代をもたらす。
競争相手の出現で、いくらか売上げが落ちるかと思って見ていたが、心配するほどのことはなかった。床下換気扇は、新築ではほとんどといってよいくらい需要はなく、痛みが出はじめる築後数年たったものから需要が増えてくる。そういった家を対象に、類似商品を売り出した各社がテレビやラジオ、チラシ、ダイレクトメールといったものを使って、一斉に宣伝したら床下の湿気に対する関心は急速に高まった。わが社だけだったら、せいぜいダイレクトメール程度だったろう。その場合は世間の
認知は急には高まらなかったにちがいない。
宣伝合戦は相乗効果を生み、床下換気扇の認識が高まってくると、元祖であるこちらはモノマネ商品 にはない強みがあった。私はモノマネ商品を分解して、わが社の「プッシュ・ファン」との比較表をつくらせ、営業に持たせた。
わが社のものは、ファンは樹脂製で軽く、音も静か。風量はケタ違いに多い。ファンを覆うボックスは、かつて、沖縄で取りつけたものが、数年で腐食した苦い経験か
ら、錆に強いステンレス製に改良してあった。また、前述したように、モーターからまったく違った。ベヤリングモーターだから、何時間回転しても、熱をもたず、磨耗もしない。
「十年ももたないような家は、家とはいえない」
大前さんの言葉が、私の耳の底から離れなかった。家を長持ちさせるため、床下換気扇は最初から耐用年数の長いように設計させた。そして、五年の保証期間を設けた。さらに、一日五時間回して、十五年の耐用年数を設定した。発売からそれほどの年月はたっていないので、確実にはいえないまでも、十五年以上は耐えうると、私はみている。
「こちらは一日の長さがありまっせ。他所のモノとモノが違いますから、決めるのはどうぞ比べてからにしてください」
営業が自信をもって言えた。比較できるライバル商品の登場で、かえってセールス・トークがやりやすくなった。